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片岡英和建築研究室/一級建築士事務所
〒604-8244 京都市中京区元本能寺町382 MBビル3F

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大阪新美術館

所在地:大阪市 / 主要用途:美術館 / 敷地面積:12,874.30m² / 建築面積:6,433.13m² / 延床面積:14,552.77m² / 規模:地上3階建 / 主体構造:RC造+木造

『大阪 21XX ・ ピナコテカ』

あたらしい美術館のカタチ|美術とは神の手を持つ人(画家や芸術家など)からの贈り物なのかもしれない。だからこそ、市井の人である我々にとって美術館は特別なものではなくいつでもふれられる、日常に根ざしたものでありたいと考える。 この場所が発祥となった具体美術では日常のあらゆる物質をアートへと昇華し、日常とアートの境界をあいまいにすることで、斬新な作品を生み出しました。そこで私たちは具体美術のあり方を形にし、日常とアートが融合したこれまでにない新しい美術館を提案した。

木造のシンプルな架構で可変性と経済性、環境負荷低減にこたえる|RCの人工地盤を構成した上に木造建築物として美術館を計画。木造フレームも特殊な形状でなく、シンプルな門型フレームを同形状、相似形状で連続させることで経済性を発揮させた。また木造とすることで、RCやS造と違い、建築後の変更・増築にも柔軟に対応し、解体時においても自然に帰る素材で環境負荷に貢献する計画とした。

時間の密度を内包した展示空間|展示フロアを3層にまとめることで水害から作品を守ると共に、鑑賞と管理の両面から分かりやすいゾーニングとした。各展示室はかつてこの場に存在した蔵群を想起させる土壁により守られたホワイトキューブ空間とし、企画展示室は企画内容の多様性への対応力を高めるため可変性を重視した造りとなっている。展示空間ゾーンは「時の環」と「空の環」という2つの回遊空間に挟まれた構成とした。 二つの環は各々の周長の長さの差から時間密度を変化させ、『時』を主体とした「移動の場」と『空間』を主体とした「留まる場」を生み出した。展示空間は各々からアクセス出来、来館者が自由に時間密度の中を回遊出来るようになっている。その二つに挟まれた展示空間は、言わばその時間軸をグラデーション的に繋げる時間変換装置となるであろう。

歴史を顕在化させる外部空間|江戸時代、本敷地には安芸広島藩の米蔵や鉄蔵などが点在し、荷物を集積する舟運の港=舟入が存在していた。時代を超え、この場に文化発信の地ともなる美術館を建設するにあたり、歴史的な遺構を顕在化させ、アートの集積や拡散を担う場=アートの港と捉えなおすことで、遺構を利活用できるであろう。ここでは具体美術がかつて行ってきたライブアートやアートパフォーマンスといったことを開催することで、人々にアートの面白さに触れ、興味を促す。舟入を想起させる水盤は井水を使い、親水性を高めると共に空調に活用する。また建物周囲に張り巡らされた半屋外空間を市民の縁側として開放することで、人々が行き交い、佇む場を提供すると共に市井の人達のアートを展示することで、アートをより身近なものへとひきつける役割を持つこととなる。

100年先の持続と市民の日常に根ざした美術館を目指して