株式会社片岡英和建築研究室

サウナ内装設計|集客と安全を両立する設計ポイントと法的注意点

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サウナ内装設計|集客と安全を両立する設計ポイントと法的注意点

サウナ内装設計|集客と安全を両立する設計ポイントと法的注意点

2025/11/07

サウナの内装デザインは、快適さや雰囲気づくりだけでなく、安全性・耐久性・清掃性、そして運用コストに直結します。 高温多湿という特殊な環境では、素材や納まり、換気・断熱の計画が不十分だと、劣化・臭気・結露・火災リスクなどのトラブルが起こりやすくなります。 本記事では「安全・法規・運用」を軸に、サウナ内装の素材選定から設計ポイント、法的注意点、費用の考え方までを実務目線で整理します。

サウナは単体設備ではなく、ホテルや温浴施設の体験価値を構成する重要な要素です。

宿泊施設全体の設計については、設計事例@Worksもあわせてご覧ください。

サウナの内装が施設の集客と満足度を左右する理由

サウナの内装デザインは、室内の香り、肌触り、照明の落ち着き、座り心地、熱の回り方、出入りのしやすさなど、こうした要素が重なって体験価値になります。その体験が「また来たい」というリピートにつながり、結果として集客率を左右します。

おしゃれで落ち着いた雰囲気の内装がデザインされたサウナなら、「癒しの場」として認識されやすく、リピート率の向上が期待できます。一方で、清掃しにくい素材や換気不足は、臭気・カビ・劣化を招きやすく、トラブルは満足度を下げます。 サウナ内装は、見た目の演出と同時に、運用の安定性を設計で担保することが重要です。

つまり、サウナの内装はただの見た目の問題ではなく、集客と満足度を高めるために重要です。

 

サウナ内装に使われる代表的な素材(木材・石材・タイル)

サウナ内装に使われる代表的な素材(木材・石材・タイル)

サウナ内装の素材選定は、香りや質感といった体験価値に加え、耐久性・清掃性・安全性に影響します。

「良い素材」かどうかは価格だけで決まらず、用途と運用に対して適切かどうかで判断します。 木材ごとに質感や特徴が異なるため、用途や予算感も踏まえ、サウナの内装に使われる代表的な木材と特徴を整理します。 どの部位に使うのか、どの程度の稼働を想定するのか。その前提を整理したうえで選定することが重要です。

 

高級感と心地よい香り「ヒノキ(檜)」

ヒノキは香りと質感で印象をつくりやすく、滞在価値を高めたい施設に適します。 ただしコストは上がりやすいため、全面採用ではなく「体験の核(ベンチ周り・手が触れる部位)」へ配分する設計が合理的です。

ヒノキ特有の上品な香りはリラックス効果をもたらし、利用者に「癒やしの空間」という印象を与えます(※1)。

さらにヒノキには、水や湿気に強く、長期間使用しても腐食しにくいという利点もあります(※2)。温泉施設や高級旅館のサウナの内装にヒノキを使うことで、「特別な空間」として差別化を図ることができるのです。 

ヒノキは、高級感を演出し、顧客満足度を高めたいサウナに適した木材です。他の木材に比べてコストは高めですが、香り・質感・耐久性を考えると投資する価値があります。 

※1参照元:千葉大学環境健康フィールド科学センター「木と人の関係ーサイエンスの視点から一第7回 「木の香りを嗅ぐと」」
※2参照元:酒井温子「築約100年の木造住宅で使用されていたヒノキ床組材の耐朽性」

 

明るく清潔感のある「アスペン」「サーモウッド」

アスペンやサーモウッドは、内装空間に「清潔感」と「モダンな印象」を求めるサウナにおすすめです。アスペンは白っぽい色合いで軽やかな印象をつくりやすく、触れても熱くなりにくい特性からベンチ材としてよく使用されます。

サーモウッドは高温処理によって耐久性が高められており、湿気やカビに強いという特性があります。美しい木目と落ち着いた色合いをしているため、都市型のフィットネスクラブや若い世代が訪れるスパ施設の内装デザインに相性の良い木材となります。

アスペンやサーモウッドは、「明るい都市型の内装」を目指すサウナ施設に適しています。

 

コストと耐久性のバランスが良い「スギ(杉)」「サワラ(椹)」

サウナの内装デザインでコストと耐久性の両方を重視するなら、スギやサワラが有効です。スギは、比較的安価で加工がしやすく、温かみのある木目が特徴です。また、断熱性が高いため、サウナの熱を保持するのに役立ちます。 

サワラは湿気や水に強く、ヒノキに似た香りを持ちながらも価格を抑えられます。 

  • スギと同様に、耐久性の高さや加工のしやすさが特徴である 
  • 表面はなめらかで肌触りが良いため、座面や壁材に適している 

スギとサワラは、コストを抑えつつ木の温もりを取り入れたいサウナ施設にぴったりの素材です。

 

壁材・床材に活用される石材やタイル

サウナの内装デザインでは、壁材や床材に石材やタイルを取り入れることも効果的です。耐久性とデザイン性を兼ね備えているため、長期的に安心して活用できます。石材には重厚感があり、特に岩盤浴やラグジュアリーなサウナ施設などに適しています。 

タイルは掃除がしやすく、耐水性に優れているため、衛生管理がしやすい点が大きな利点です。床に滑りにくいタイルを敷くことで、利用者の安全性を高められます。デザインのバリエーションも豊富で、モダンな印象から天然石調まで多様な演出が可能です。 

木材に加えて石材やタイルを取り入れることで、機能性とデザイン性を両立したサウナの内装を実現できます。

 

快適性と安全性を両立する設計ポイント(機能・ディテール)

快適性と安全性を両立する設計ポイント(機能・ディテール)

サウナの内装を設計する際は見た目だけでなく、機能性を高めることで集客力と利用者の満足度を大きく向上させます。サウナストーブの種類やベンチの高さ・段数、ドアの設置など、細かな要素が快適性や安全性に影響するため、設計段階から慎重に検討することが重要です。

 

サウナストーブの種類と選び方(電気・薪・ガス)

サウナストーブの種類には電気・薪・ガスがあり、施設の用途や利用者のニーズなどによって適した種類は異なります。ストーブの種類ごとに特徴が異なり、体感温度や雰囲気、運用コストなどに影響するからです。 

  • 電気ストーブ:ボタン操作で温度管理がしやすく、メンテナンスも比較的簡単であるため、都市部のジムやスパのサウナに適している 
  • 薪ストーブ:独特の炎の揺らぎや薪の香りが魅力で、自然の中のサウナやアウトドア施設に合う 
  • ガスストーブ:立ち上がりが早く、短時間で高温環境を作れるため、大人数が利用する商業施設に向いている 

上記のように、サウナストーブの種類によってメリット・デメリットが異なるため、施設の規模やコンセプトに合わせて選ぶことが大切です。

 

ベンチ(座面)の高さと段数の最適な設計

サウナベンチの高さや段数によって、内装空間の快適さが変化します。なぜならサウナ室内の熱気は上部にたまりやすいため、座る高さによって利用者の体感温度が大きく変わるからです。 

2~3段のベンチを設ければ、利用者が好みに応じて座る場所を決めれます。しっかり汗をかきたい人は上段(床から1m前後)を、ゆったり過ごしたい人は下段(0.5m前後)を選択できるからです。 

ベンチの高さと段差を計算して、初心者から上級者まで楽しめるサウナ施設を設計することで、新規顧客とリピーターの獲得につながります。なお、利用者1人当たりのベンチの幅と奥行きは0.5m以上を確保することで、安心して腰掛けることができます。

 

ドアの選び方と設置の注意点

ドアの選び方は、サウナ施設の安全性と快適性を維持するために欠かせません。ドアの種類や設置場所によって、利便性と安全性が変化します。サウナ施設内は高温環境であるため、ドアが開閉しにくいと事故につながる恐れがあります。

緊急時にすぐに退室できるように、外開きのドアを採用することが基本設計です。また、外の様子が見えるようにガラスドアを採用することで、利用者に安心感を与えます。さらに、厚みのある木製ドアに耐熱ガラスの窓を組み合わせ、隙間から熱気が逃げにくい構造にすることも重要です。取っ手部分には熱くならない素材を使用し、利用者が火傷するリスクを防ぐ工夫も求められます。

サウナのドアを選ぶ際は、「安全に退室できる設計」と「熱を逃さない工夫」を両立することが重要です。

 

消防法・建築基準法・条例など、法的注意点

消防法・建築基準法・条例など、法的注意点

サウナの内装を設計する際には、デザイン性や快適性だけでなく、消防法や建築基準法などの法令を遵守することが不可欠です。万が一の火災や事故を防ぎ、安全に利用できる施設を運営するために、材料の選定や設備の設置に法的基準が設けられています。

 

消防法に準拠した内装制限(不燃・準不燃・難燃材料)

サウナの内装には、消防法に準拠した内装制限(不燃・準不燃・難燃材料)が定められています(※3)。サウナは高温環境で火災発生のリスクが高いため、燃えにくい建材を使用することで安全性を確保する必要があるからです。

壁や天井には不燃または準不燃の建材が指定され、木材を使う場合でも表面処理や配置の工夫によって基準を満たすことが求められます。また、床材についても燃え広がりを防ぐ素材が必要です。

木材を取り入れた内装を設計する際は、木材配置のバランスを工夫しつつ不燃・準不燃・難燃材料を併用することで、消防法の基準を満たすことが重要です。サウナ施設を設計する際は、消防署への届出も必要となります(※4)。

※3参照元: 
消防庁「サウナ設備に係る消防法の関係規定と火災安全性検証実験について」(1-9ページ)
消防庁「現行規制の整理」(9ページ) 

※4参照元:東京消防庁「火を使用する設備等の設置(変更)届出書」

 

適切な断熱と換気計画の重要性

サウナ施設に適切な断熱と換気を設計することは、「省エネ」と「利用者の健康・安全」を守るために欠かせません。 

断熱が不十分だと熱が外部に漏れ、電気代や燃料費が余分にかかるうえ、外部の建材に熱が伝わり火災リスクを高めるからです(※5)断熱材には不燃材料を使用することで安全性を確保できます。 

換気が不足すると、二酸化炭素や一酸化炭素が溜まり、利用者の健康に危険を及ぼす可能性があります。特にガス式や薪式ストーブを使うサウナでは、燃焼に伴って一酸化炭素が発生するため、法律に基づいた排気ダクトや換気扇の設置が必須です(※6)。 

断熱と換気は法令を遵守するための義務であると同時に、利用者が安心してサウナを楽しめる環境を整えるために大切な設計上の注意点です。 

※5参照元:公益社団法人日本サウナ・スパ協会「サウナ設備設置基準」(7ー9ページ)
※6参照元:東京消防庁「第9 サウナ設備」(2ー9ページ)

 

非常用照明や火災報知器の設置義務

サウナ施設には、非常用照明や火災報知器の設置が義務付けられています。万一の災害時に人命を守るために欠かせない設備です。 

非常用照明は、停電時でも安全に避難できるように、建築基準法に基づいて設置が求められます(※7)。サウナは密閉性が高く、暗い空間で利用されることが多いため、停電や火災が発生すると避難が難しくなるからです。 

火災報知器は、初期段階での火災発見に役立ち、被害を最小限に抑えるために消防法に基づいて設置が義務付けられています(※8)。天井に設置され、煙や熱を感知すると警報が鳴る仕組みです。設置や点検に関して違反すれば、営業許可に関わる重大な問題となります。 

非常用照明や火災報知器は、法律で定められた最低限の安全設備であり、利用者の命を守るために必要です。 

※7参照元:e-GOV法令検索「建築基準法施行令」(第126条の5)
※8参照元:e-GOV法令検索「消防法」(第17条)

 

サウナ内装の費用相場と、コストを整える考え方

サウナの内装工事では、設計や材料調達、施工、設備購入などの費用が発生します。適切な予算を立てるためには工事費用の内訳を理解し、坪単価やコストを抑えるコツを把握することが重要です。

 

費用の内訳(設計費、材料費、施工費、設備費)

サウナ内装工事費用の内訳は、「設計費」「材料費」「施工費」「設備費」の4つに分けられます。各費用はサウナ施設の快適性や運営コストを左右し、どこに重点を置くかによって合計金額が変動するのです。 

  • 設計費:建築士や設計事務所に依頼する場合に発生し、規模やデザインなどで変動する 
  • 材料費:木材や石材、タイルなどの素材によって、大きく差が出る 
  • 施工費:職人の作業量や工事の複雑さなどによって増減する 
  • 設備費:サウナストーブや換気設備、照明などの導入費用で、台数や性能によって変わる 

工事費用の内訳を理解したうえで、「どこに投資し、どこを調整するか」を見極めることで、予算管理がしやすくなります。

 

坪単価で見る費用目安

サウナの内装工事費用の坪単価は、100万~200万円前後です。内装に必要な木材や石材、断熱材、ストーブなどは高温・多湿環境に耐える仕様でなければならず、通常の住宅リフォームよりも高額になります。 

内装工事費用を検討する際に、坪単価を基準に考えると分かりやすくなります。例えば、4坪程度の小規模サウナを設置する場合でも、総額で400万~800万円程度が必要です。施設全体のデザイン性を高めるためにヒノキや特殊なタイルなどを使用すれば、費用はさらに上がります。 

坪単価を基準に工事費用を算出すれば、必要な予算を把握でき、資金計画を立てやすくなります。

 

予算内で理想を実現するためのポイント

サウナの内装工事において予算内で理想を実現するためには、優先順位を付けて投資箇所を選ぶことがポイントです。全てに高級素材や最新設備を導入すれば費用は膨らみますが、利用者が特に快適さを感じるポイントに絞れば、満足度を保ちながらコストを削減できます。 

具体的には、サウナストーブやベンチといった「利用者が直接体験する部分」には質の良い素材を選び、壁材や床材には比較的コストを抑えられる素材を採用します。デザインはシンプルにし、照明や装飾でアクセントを付ければ雰囲気を演出しつつ費用の削減が可能です。 

さらに、施工業者の比較も大切です。複数の業者ら見積もりを取り、工事内容を精査することで不必要な費用を削減できます。

サウナは単体設備ではなく、宿泊施設や温浴施設全体の体験価値を構成する要素です。施設全体の設計については、以下の記事もあわせてご覧ください。

 

宿泊施設設計の考え方はこちら

オフィス設計の考え方はこちら

 

サウナ内装の設計・デザインのご相談について

サウナの内装デザインでは、素材選びや設計の工夫、安全面の配慮などによって快適性や集客力に大きな差が生まれます。片岡英和建築研究室では、豊富な経験と専門知識を活かし、施設の用途や予算に合わせたサウナ施設の設計をご提案します。理想のサウナづくりをお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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