関西・四国の建築家として日刊木材新聞でご紹介いただきました。
2024/10/02
『関西・四国の建築家&住宅会社=片岡英和建築研究室』
『エネルギー問題に取り組む設計士』
『木造に着目し、木材活用進める』
片岡英和建築研究室(京都市、片岡英和代表)は、S造、RC造、木造の意匠設計を手掛けている。ここ10年は環境問題への関心が一層高まるなか、サステナブルな建築物として木造を提案することが増えている。同時に設計士として、ZEBやライフサイクルCO2などエネルギーの問題にも積極的に取り組んでいる。
片岡氏は大学卒業後、マンション系デベロッパーの設計部を経て大学時代の恩師が代表を務める塚口明洋建築研究室(大阪市)に入社。ここで約10年間設計士としての経験を積んで独立し、現在に至る。「研究室」という名称は恩師の会社にあやかって採用したものだ。その後、片岡氏は設計士としての実績を重ね、2017年に晶和電機工業(京都市、藤井正社長)の本社ビル(S造)の設計を手掛け、中大規模建築の世界に足を踏み入れた。
同ビルは京都府内で初めてウッドALCを採用したことで知られている。また、同社は電気・機械・環境設備の施工業者として早くからZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に取り組んできた会社で、同ビルはエネルギーに関して様々な検証も行う「実験棟」として建設した。エネルギー問題に真正面から取り組んでいる片岡氏は同社の考え方に賛同する部分が多く、その後は施主ではなくZEBの実働業者としてたびたび力を借りている。
その一例が、6月に竣工した京都信用保証協会・中丹支所だ。同支所は京都府材を使ったCLTを採用した非住宅建築だが、片岡氏は当然ここでもZEBやライフサイクルCO2などエネルギーへの考えを設計に盛り込んだ。具体的には太陽光発電による創エネと設備の自動制御システムによる省エネを同時に進め、必要な1次エネルギーを旧支所比で25%以下に削減。その設計を形にしたのは晶和電機工業だった。
片岡氏は設計においてS造、RC造、木造を適材適所で使い分けている。ただ、最近は木造建築に着目しており、林業や地域経済の活性化のためにもサステナブルな木材の活用を進めている。同時にエネルギーにも貢献する建築設計を目指している。片岡氏は「中小企業がサステナブルやエネルギーの問題に取り組むことで社会的信用が高まる。まだまだ取り組めていない中小企業に、建築の面からその重要性を伝えていきたい」と話す。
2024年9月26日(木)日刊木材新聞より