書斎について考える|ひとりの時間をデザインする
2021/05/28
住まいとは、家族と時間を共有するための場所であると同時に、自分自身と向き合うための場所でもあります。
リビングやダイニングのように人が集う空間がある一方で、誰にも邪魔されず、考えごとをしたり、読書をしたり、趣味に没頭したりできる「ひとりの時間」もまた、暮らしを豊かにしてくれる大切な要素ではないでしょうか。
近年では在宅ワークの普及により、書斎への関心も高まっています。
しかし、書斎とは単なる仕事部屋ではありません。
自分のペースを取り戻し、集中し、心を整えるための小さな居場所でもあるのです。
今回は、書斎という空間のあり方について考えてみたいと思います。
□書斎とは「集中のための居場所」
書斎の役割は、人によってさまざまです。
仕事をする場所として使う人もいれば、読書を楽しんだり、趣味に没頭したり、手紙を書いたり、絵を描いたりする人もいるでしょう。
また、誰にも邪魔されずに考えごとをしたり、自分自身と向き合ったりする時間を過ごす場所として求める方もいらっしゃいます。
つまり、書斎とは単なる「仕事部屋」ではなく、自分らしく集中できる居場所なのです。
だからこそ、どのような時間を過ごしたいのかによって、必要な広さや設備、空間のあり方も変わってきます。
□書斎を計画するときに考えたいこと
*何のために使うのかを考える
まず大切なのは、「この場所で何をしたいのか」を明確にすることです。
在宅ワークが中心なのか、趣味の時間を楽しむためなのか、家事の合間に少し作業をする場所なのか、あるいは勉強やオンライン会議のための空間なのか。
目的が見えてくることで、必要な広さや設備、求められる静けさも自然と整理されていきます。
*広さよりも居心地を考える
書斎は、広ければ良いというものではありません。
むしろ、適度な包まれ感のある小さな空間のほうが落ち着き、集中しやすいと感じる方も多くいらっしゃいます。
必要以上の広さを求めるのではなく、自分にとって心地よいスケールを見つけることが大切です。
小さな場所だからこそ生まれる安心感や集中力もまた、書斎の価値のひとつではないでしょうか。
*家族との距離感を考える
書斎は、どこに配置するかによって使い勝手が大きく変わります。
家事の合間に使いたい場合はキッチンの近く、仕事に集中したい場合はリビングから少し離れた場所など、目的に応じたゾーニングが重要です。
家族の気配を感じながら過ごしたいのか、それとも静かな環境を優先したいのか。オンライン会議の有無も含め、自分に合った距離感を考えることが、心地よい書斎づくりにつながります。
*快適性を支える設備を整える
長時間過ごす空間だからこそ、温熱環境や設備計画にも目を向けたいものです。
小さな部屋だからとエアコンを設けないと、夏や冬に快適性を損ない、集中できなくなることがあります。
また、有線LANや空配管、コンセントの位置、照明計画なども、将来的な使い方の変化を見据えながら検討しておくと安心です。
空間のゾーニングや家族との距離感については、「間取りについて考える(その1)|暮らしの関係性をデザインする」もあわせてご覧ください。
参考写真:修学院の家(京都市)ゾーニングされた和風書斎/設計監理・片岡英和建築研究室
□書斎は時代とともに変わる
かつて書斎は、一部の人だけが持つ特別な空間という印象がありました。
しかし、コロナ禍を経て在宅勤務が広がり、副業やオンライン学習、趣味の時間を大切にする暮らし方も増えています。
AIの発達によって働き方が変化していくこれからの時代だからこそ、「考えること」や「自分自身と向き合うこと」の価値は、むしろ高まっていくのかもしれません。
書斎とは、仕事をするためだけの部屋ではなく、ひとりの時間を受け止め、思考を深めるための居場所へと変化しているのです。
用途を決めすぎない余白のある空間については、「ロフトについて考える|余白が暮らしにもたらす豊かさ」もあわせてご覧ください。
参考写真:今川の家_書斎(福岡市)/設計監理・片岡英和建築研究室
□まとめ
書斎とは、単なる仕事部屋ではありません。
家族と過ごす時間が大切であるように、ひとりで過ごす時間もまた、暮らしを豊かにしてくれます。
住まいの中に、自分自身を整えるための小さな居場所をつくること。
それは、忙しい日常の中に余白を残すことでもあるのだと思います。
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