店舗設計について考える|人が集まる空間づくり
2025/07/02
店舗は、商品やサービスを提供する場所であると同時に、人と人が出会い、時間を過ごす場所でもあります。訪れる人にとって居心地がよく、また訪れたいと思える空間は、デザインだけでなく、コンセプトや動線、照明、素材、そして空間全体の雰囲気など、さまざまな要素が積み重なることで生まれます。
本記事では、店舗設計を考えるうえで大切にしたい基本的な考え方や設計の流れ、設計者選びの視点について整理します。
店舗設計とは

店舗設計とは、商品やサービスを提供する場を計画するだけではなく、その場所でどのような時間や体験を生み出すのかを考えることでもあります。人が自然と入りたくなり、心地よく過ごし、また訪れたいと思える空間は、コンセプトや動線、照明、素材、家具など、さまざまな要素を丁寧に積み重ねることで生まれます。
店舗設計とは何か
店舗設計とは、店舗のコンセプトや業態、立地条件に合わせて、人と空間との関係をデザインすることです。
単に見た目を整えるだけではなく、「誰に」「どのような価値を提供したいのか」を整理し、その考え方を建築やインテリアへ落とし込んでいきます。
例えば、同じ飲食店でも、ゆっくりと時間を楽しむカフェと、回転率が求められる専門店では、求められる空間は大きく異なります。また、小売店やサービス店舗でも、商品の見せ方やスタッフの動き方によって、最適なレイアウトや動線は変わります。
つまり店舗設計とは、デザイン性だけでなく、機能性や快適性、働きやすさ、ブランドイメージなどを総合的に整理し、その店舗らしい空間をつくるプロセスなのです。
店舗設計が大切な理由
店舗は、多くの場合、お客様がブランドと最初に出会う場所です。そのため、空間の印象は、その店舗の価値やサービスへの期待にも大きく影響します。
例えば、入りやすいファサードやわかりやすい動線、心地よい照明や素材の選択は、自然と店内で過ごす時間を豊かにし、商品やサービスの魅力をより引き立てます。
また、スタッフにとっても働きやすいレイアウトや効率的な動線を計画することで、日々の業務が円滑になり、サービス品質の向上にもつながります。
店舗設計は、建物をデザインすることではなく、人が集い、人と人との関係を育む場をつくることです。その積み重ねが、結果として店舗の魅力やブランド価値を高めていきます。
店舗設計の進め方

店舗設計は、一つひとつの工程を積み重ねながら空間を形にしていきます。魅力的な店舗は、デザインだけで完成するものではありません。コンセプトの整理から設計、施工、開業準備まで、それぞれの段階を丁寧に進めることで、長く愛される店舗へとつながります。
1. コンセプトを整理する
店舗設計は、「どのようなお店をつくりたいのか」を整理することから始まります。
誰に、どのような商品やサービスを届け、どのような時間を過ごしてもらいたいのか。その考え方が明確になることで、デザインやレイアウト、素材の選択まで一貫した空間づくりが可能になります。
コンセプトは、店舗のデザインだけでなく、その後の運営やブランドづくりの軸にもなります。
2. 敷地や物件を読み解く
コンセプトが整理できたら、立地や物件の特性を読み解きます。
周辺環境や人の流れ、競合店舗との関係だけでなく、建物そのものが持つ可能性や法規的な条件も確認しながら、その場所だからこそ生まれる魅力を探していきます。
店舗設計では、「空いている物件に合わせる」のではなく、「コンセプトを実現できる場所かどうか」を見極めることが大切です。
3. 空間を具体化する
基本的な方向性が決まると、ゾーニングや動線計画、客席や厨房の配置などを整理しながら空間を具体化していきます。
さらに照明や設備、家具、素材などを含めた実施設計へと進み、施工のための図面を作成します。
この段階で丁寧に設計を積み重ねることが、完成後の使いやすさや居心地の良さにつながります。
4. コストを整理する
設計内容がまとまると、工事費や設備費などを含めた全体のコストを整理します。
大切なのは、単純に予算を削ることではなく、限られた予算の中で優先順位を整理し、本当に価値のある部分へ投資することです。
必要に応じて施工会社から見積りを取得し、設計内容との整合性を確認しながら調整を進めます。
5. 工事監理を行う
工事が始まると、設計図どおりに施工されているかを確認する工事監理が行われます。
図面だけでは伝わりにくい納まりや素材感なども現場で確認しながら、施工会社と調整を重ね、完成度を高めていきます。
設計者が工事監理を行うことで、品質の確保だけでなく、設計意図を空間へ正しく反映することができます。
6. 開業へ向けた準備を進める
工事が完了すると、各種検査や最終確認を行い、店舗の引き渡しとなります。
その後は家具や什器の搬入、スタッフ研修、プレオープンなどを経て、いよいよ開業を迎えます。
設計から施工、そして開業までを一つの流れとして丁寧に積み重ねることが、長く愛される店舗づくりにつながります。
設計者・依頼先について考える

店舗づくりでは、誰と一緒に空間をつくるのかも重要な要素です。依頼先によって得意分野や進め方は異なるため、それぞれの特徴を理解し、自分たちの考え方に合うパートナーを選ぶことが大切です。
建築設計事務所
建築設計事務所は、店舗全体のコンセプトを整理しながら、建築・内装・設備・法規などを総合的に計画します。
単に内装をデザインするだけではなく、建物全体との関係や、長く使い続けられる空間まで見据えて設計を進めることが特徴です。
新築や大規模な改修、用途変更を伴う計画、ブランドづくりを重視した店舗などでは、設計事務所の専門性が活かされます。
店舗デザイン会社
店舗デザイン会社は、業態に合わせた内装デザインやブランディングを得意としています。
デザインから施工まで一括で対応する会社も多く、スピード感を持って店舗づくりを進めやすい点が特徴です。
一方で、建築確認申請や用途変更など、建築的な対応が必要な場合には、設計事務所との連携が必要になることもあります。
工務店・施工会社
工務店や施工会社は、施工技術や現場での対応力を強みとしています。
過去の施工経験を活かした提案や、地域に密着したきめ細かな対応が期待できます。
設計を伴う場合は、提案内容や設計体制について事前に確認しておくと安心です。
大切なのは「相性」と「考え方」の共有
依頼先を選ぶ際には、価格や実績だけではなく、「どのような店舗を目指したいのか」を共有できるかどうかが重要です。
- 考え方やコンセプトを丁寧に整理してくれるか
- 店舗の運営や将来まで見据えた提案をしてくれるか
- 実績や得意分野が、自分たちの業態に合っているか
- 相談しやすく、信頼関係を築ける相手か
店舗づくりは、完成して終わりではありません。設計から施工、そして開業後まで見据えながら、一緒に空間を育てていけるパートナーを選ぶことが、長く愛される店舗づくりにつながります。
人が集まる店舗をつくるために大切なこと

人が集まり、長く愛される店舗は、見た目だけでつくられるものではありません。コンセプトや動線、居心地、素材、光など、それぞれの要素が調和することで、その場所ならではの魅力が生まれます。ここでは、店舗設計を考えるうえで大切にしたい4つの視点をご紹介します。
コンセプトを空間として表現する
店舗のコンセプトは、ロゴや商品だけで伝わるものではありません。訪れた瞬間に感じる空気感や素材、光、音など、空間全体がブランドの世界観を表現します。
例えば、木の温もりを大切にしたカフェ、静けさを感じるレストラン、活気ある専門店では、それぞれ求められる空間は異なります。
空間がコンセプトと一致することで、お客様の記憶に残る店舗になります。
心地よい動線をつくる
店舗では、お客様だけでなく、スタッフにとっても使いやすい動線が重要です。
自然に店内を回遊できるレイアウトや、ストレスなくサービスを提供できる動線は、居心地の良さにつながります。
動線は目立たない設計要素ですが、空間全体の印象や店舗運営を支える重要な基盤です。
居心地と機能性を両立する
魅力的な店舗とは、見た目が美しいだけではなく、長時間過ごしても疲れない空間でもあります。
温熱環境や照明、音環境、家具の配置などを丁寧に計画することで、お客様にとってもスタッフにとっても快適な環境をつくることができます。
日々の営業を支えるバックヤードや収納計画まで含めて考えることで、店舗全体の完成度はさらに高まります。
光・素材・色彩が空間の印象をつくる
店舗の雰囲気は、照明や素材、色彩の組み合わせによって大きく変わります。
自然素材の温もり、間接照明がつくる落ち着き、素材の質感や色彩のバランスは、ブランドイメージを支える重要な要素です。
個々の要素を目立たせるのではなく、全体として調和することで、その店舗らしい空間が生まれます。
店舗設計のご相談について
店舗は、商品やサービスを提供するための器ではなく、そのブランドの価値や想いを伝える空間でもあります。
株式会社片岡英和建築研究室では、コンセプトや立地条件、運営スタイルを丁寧に整理しながら、人が集い、長く愛される店舗づくりをご提案しています。
新規出店やリノベーションをご検討の方は、お気軽にご相談ください。
また、異なる用途を一つの建築にまとめる考え方については、複合施設設計について考える|異なる用途をつなぐ建築デザインもあわせてご覧ください。
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自然に人の集う店舗を京都よりご提案します
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