ガレージについて考える|愛車と暮らしをつなぐ空間
2021/01/04
参考写真:稲沢GH_ガレージハウス(愛知県)/設計監理・片岡英和建築研究室
□ビルトインガレージとは
ビルトインガレージとは、住宅の一部として建物内部に組み込まれた駐車スペースのことです。
カーポートや独立したガレージとは異なり、住まいと一体で計画できるため、外観デザインや生活動線との関係を整理しやすいことが特徴です。
雨の日でも濡れずに室内へ移動できたり、シャッターを設けることで防犯性や防雨性を高めたりすることもできます。
一方で、建物内部に車を取り込む計画になるため、換気や防音、におい、構造、動線などを丁寧に考えることが大切です。
□愛車を眺める空間をつくる
ビルトインガレージの魅力のひとつは、愛車を暮らしの中で楽しめることです。
車を単なる移動手段としてではなく、空間の一部として捉えることで、住まいに特別な時間が生まれます。
リビングや書斎、廊下など、どこからどのように車を眺めるのか。
視線の抜けや窓の位置、照明の当て方を考えることで、ガレージはショールームのような空間にもなります。
ただ見せるのではなく、暮らしの中に自然に溶け込むように設計することが大切です。
参考写真:奈良GH_ガレージハウス(奈良県)/設計監理・片岡英和建築研究室
□趣味のための余白として使う
ガレージは、車を停めるだけでなく、趣味のための場所としても活用できます。
車やバイクのメンテナンス、自転車の整備、DIY、アウトドア用品の収納など、使い方は暮らし方によってさまざまです。
そのためには、コンセントの位置や電気容量、照明、換気、作業スペース、収納計画などをあらかじめ整理しておくことが重要です。
ガレージを「余ったスペース」として考えるのではなく、暮らしの楽しみを受け止める場所として計画することで、住まいの使い方は大きく広がります。
□住まいとの動線を整える
ビルトインガレージは、住まいと直接つながるからこそ、動線計画が重要になります。
買い物帰りに荷物を運びやすいこと。
雨の日でも濡れずに室内へ入れること。
玄関や収納、キッチン、パントリーとのつながりを考えることで、日々の使いやすさが変わります。
また、ガレージから室内へ入る動線には、靴や上着、アウトドア用品などを整える収納を組み合わせると、暮らし全体がすっきりと整いやすくなります。
□建物と一体でデザインする
ビルトインガレージは、外観にも大きな影響を与える要素です。
シャッターの位置や素材、開口部の見せ方、外壁とのバランスによって、住まい全体の印象は大きく変わります。
ガレージだけを目立たせるのではなく、建物全体の構成の中で自然に納めること。
その上で、愛車や趣味の気配がさりげなく感じられるように計画することで、暮らしとデザインが無理なくつながっていきます。
参考写真:甲賀の家(滋賀県)/設計監理・片岡英和建築研究室
□快適性と安全性にも配慮する
ガレージを住宅内部に取り込む場合、換気やにおい、防音、防火、防犯への配慮も欠かせません。
車の排気やガソリンのにおいが室内に入りにくいようにすること。
シャッターの開閉音やエンジン音が生活空間に影響しにくいようにすること。
工具や設備を安全に使えるように、照明や電源、床仕上げを考えること。
ガレージを快適な趣味空間として使うためには、見た目だけでなく、日常的な安全性やメンテナンス性まで含めて計画することが大切です。
□まとめ
ビルトインガレージは、車を格納するためだけの空間ではありません。
愛車を眺める時間、趣味に没頭する時間、雨の日の動線、暮らしを整える収納。
それらを住まいと一体で考えることで、ガレージは暮らしを豊かにする居場所になります。
大切なのは、車をどう停めるかだけではなく、愛車とどのように暮らしたいのかを考えること。
その視点から設計することで、ガレージは住まいの一部として、日々の時間に奥行きを与えてくれるのだと思います。
なお、住まい全体の動線や居場所の考え方については、「間取りについて考える(その3)|日々の動線と居場所を整える」もあわせてご覧ください。
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