打ち合わせについて考える(その1)|住まいづくりを深める対話
2021/05/12
家づくりを考え始めると、多くの方が不安を感じます。
「何を話せばいいのだろう。」
「要望がまとまっていない。」
「専門知識がないけれど大丈夫だろうか。」
住まいづくりにおいて、打ち合わせはとても大切な時間です。
しかし、それは正解を持ち寄って答え合わせをする場ではありません。
むしろ、自分たちでもまだ言葉になっていない想いや価値観を少しずつ整理しながら、これからの暮らしの輪郭を見つけていく時間なのだと思います。
今回は、住まいづくりを深める「対話」としての打ち合わせについて考えてみたいと思います。
□打ち合わせとは「決める場」ではなく「整理する場」
住まいづくりの打ち合わせというと、「間取りを決める」「設備を選ぶ」「色を決める」といったイメージを持たれるかもしれません。
もちろん、そのような決定も大切です。
しかし実際には、
「本当に必要なものは何か。」
「どのような暮らしを送りたいのか。」
「何を大切にしていきたいのか。」
といった、ご家族の価値観を整理していく時間でもあります。
例えば、
・休日はどのように過ごしたいのか
・家族との距離感をどう考えているのか
・ひとりの時間を大切にしたいのか
・趣味や仕事を住まいにどう取り込みたいのか
こうした何気ない会話の中に、その家族らしい住まいのヒントが隠れています。
最初から理想の住まいを明確に説明できる方はほとんどいません。
だからこそ、対話を重ねながら少しずつ整理していくことが大切なのです。
参考写真:打ち合わせ風景(片岡英和建築研究室)
□住まいづくりには時間が必要
打ち合わせは、一度ですべてが決まるものではありません。
資金計画。
土地のこと。
間取り。
構造や性能。
素材や設備。
照明や外構。
住まいは、数えきれないほどの選択の積み重ねによって形になっていきます。
そのため、設計段階だけでも10回以上の打ち合わせになることは珍しくありません。
「そんなに必要なのか」と思われるかもしれません。
しかし、それは決して非効率なのではなく、それだけ丁寧に暮らしについて考える時間とも言えるのではないでしょうか。
住まいづくりとは、人生のこれからを考えることでもあります。
だからこそ、焦らず、少しずつ言葉を重ねていくことが大切なのだと思います。
□対話の中で見えてくること
打ち合わせでは、当初の要望がそのまま形になるとは限りません。
予算や法規、敷地条件などによって、別の方法を考える必要が出てくることもあります。
そのようなとき大切なのは、
「できません。」
と答えることではなく、
「なぜ難しいのかを共有し、別の可能性を一緒に考えること」
ではないでしょうか。
窓の位置を変える。
動線を見直す。
優先順位を整理する。
別の素材を検討する。
対話を重ねることで、当初想像していた以上に豊かな答えにたどり着くことも少なくありません。
住まいづくりは、要望を実現するだけではなく、まだ見えていなかった可能性を発見していくプロセスでもあるのです。
□完璧な準備は必要ない
「もっと調べてから相談した方がいいのでは。」
「希望を整理してから打ち合わせに行こう。」
そう思われる方もいらっしゃいます。
もちろん、好きな写真を集めたり、気になることをメモしたりすることは役立ちます。
しかし、完璧に準備する必要はありません。
「こんな暮らしが好き。」
「これは何となく違う気がする。」
そんな曖昧な感覚でも十分です。
言葉にならない想いを少しずつ整理しながら、自分たちらしい住まいを見つけていくことも、打ち合わせの大切な役割なのです。
□まとめ
住まいづくりの打ち合わせは、単に決定事項を積み重ねるための時間ではありません。
暮らしを見つめ直し、自分たちが本当に大切にしたいことを見つけていく対話の時間でもあります。
だからこそ、最初から完璧な答えを持っている必要はありません。
住まいづくりとは、対話を重ねながら、これからの人生の器を少しずつ形づくっていくことなのだと思います。
焦らず、楽しみながら、自分たちらしい暮らしの輪郭を見つけていきましょう。
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