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スキップフロアについて考える|高さが生み出す暮らしの豊かさ

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スキップフロアについて考える|高さが生み出す暮らしの豊かさ

スキップフロアについて考える|高さが生み出す暮らしの豊かさ

2021/06/11

住まいづくりにおいて、床は「同じ高さで連続するもの」と考えられることが一般的です。

しかし、ほんの少し床の高さを変えるだけで、空間の印象や居心地、家族との距離感は大きく変わります。

スキップフロアとは、そうした高さの違いを利用しながら、暮らしに新たな居場所や豊かさを生み出す設計手法です。

単におしゃれな空間演出としてではなく、限られた空間を有効に活用しながら、家族の関係性や日々の過ごし方に奥行きを与える方法として、近年あらためて注目されています。

今回は、スキップフロアがもたらす暮らしの豊かさについて考えてみたいと思います。

 

□スキップフロアとは?

スキップフロアとは、ひとつの階層の中に複数の床の高さを設け、空間を立体的につなぐ設計手法のことです。

壁で部屋を完全に仕切るのではなく、床のレベル差によってゆるやかに空間を分節することで、それぞれの居場所に個性を与えながらも、家族の気配を感じられる住まいをつくることができます。

中二階のようなスペースを設けたり、小上がりをつくったり、リビングの床を一段下げたりと、その表現方法はさまざまです。

また、斜面地や高低差のある敷地では、地形の特性を活かしながら自然にスキップフロアを取り入れることもできます。

参考写真:スキップフロア住宅_甲賀の家(滋賀県)/設計監理・片岡英和建築研究室

 

□高さの違いが生み出す豊かさ

*居場所が増える

スキップフロアの魅力のひとつは、住まいの中に多様な「居場所」を生み出せることです。

家族が集まるリビングとは別に、読書を楽しむ場所、子どものスタディコーナー、趣味を楽しむスペース、リモートワークのためのワークスペースなど、床の高さの違いによって自然に居場所が生まれます。

完全に独立した個室ではないため、適度なつながりを保ちながら、それぞれの時間を過ごすことができます。

 

*開放感とつながりを両立する

壁を増やさずに空間を緩やかに分けられることも、スキップフロアの特徴です。

視線が抜けることで空間に広がりが生まれ、実際の床面積以上の開放感を感じられることがあります。

また、キッチンで料理をしながら子どもの様子を見守ったり、別の場所にいても家族の気配を感じたりと、距離感を心地よく調整できる住まいになります。

狭小住宅や平屋においても、空間に変化や奥行きをもたらす有効な手法と言えるでしょう。

 

*収納の可能性を広げる

床の高さに変化をつけることで生まれる段差部分は、収納として活用することもできます。

階段下収納や段差内部の引き出し収納など、通常はデッドスペースになりがちな部分を有効活用することで、限られた空間の中でも収納量を確保することができます。

住まいの余白を無駄なく活かせることも、スキップフロアならではの魅力です。

参考写真:スキップフロア住宅_甲賀の家(滋賀県)/設計監理・片岡英和建築研究室

 

□取り入れる際に考えておきたいこと

*温熱環境との関係

スキップフロアは空間同士が連続するため、空調計画や断熱性能への配慮が重要になります。

暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下にたまるため、住まい全体の温度ムラを抑えるためには、高断熱・高気密化や適切な換気計画、場合によっては床暖房なども検討すると良いでしょう。

見た目の豊かさだけでなく、快適性まで含めて設計することが大切です。

なお、スキップフロアは吹抜け空間と同様に、上下階がゆるやかにつながる断面構成となるため、温熱環境の考え方も共通しています。

開放感や家族のつながりを生み出す一方で、空気の流れや空調計画への配慮も欠かせません。

吹抜け空間の温熱環境や計画時のポイントについては、「吹抜けのある家|光と開放感を生み出す設計のメリット・デメリット」もあわせてご覧ください。

 

*コストとのバランス

スキップフロアは、床構成や構造計画が複雑になることもあり、一般的な住宅に比べてコストが上がる場合があります。

また、実際に使用できる床面積が増えることで、固定資産税にも影響する可能性があります。

そのため、暮らしにとって本当に必要な空間なのかを見極めながら計画することが重要です。

 

*将来の変化を見据える

段差は空間に豊かさをもたらす一方で、将来的なバリアフリーへの対応についても考えておく必要があります。

子どもの成長や独立、年齢を重ねた後の暮らし方など、時間の変化も見据えながら、「今」と「これから」の両方に目を向けて計画することが望ましいでしょう。

 

□まとめ

スキップフロアとは、単におしゃれな間取りではありません。

床の高さを少し変えることで、住まいの中に多様な居場所が生まれ、家族の気配を感じながらも、それぞれが自分らしく過ごせる距離感をつくることができます。

また、収納や空間の有効活用、敷地条件への対応など、多くの可能性を秘めた設計手法でもあります。

高さの違いがもたらす小さな変化は、暮らしの豊かさへとつながっていきます。

住まいにどのような時間や関係性を育んでいきたいのか。その問いからスキップフロアを考えることで、その家族らしい住まいの風景が見えてくるのではないでしょうか。

なお、間取り全体の考え方については、「間取りについて考える(その1)|暮らしの関係性をデザインする」もあわせてご覧ください。

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