庭について考える|住まいに余白をつくるということ
2021/11/27
住まいを計画するとき、「庭が欲しい」と考える方は少なくありません。
季節の花を楽しみたい、子どもがのびのび遊べる場所をつくりたい、家庭菜園をしてみたい。庭に対する思い描く風景は、人それぞれ異なります。
一方で、敷地を有効に使うために庭を最小限にしたり、あえて設けない選択をする方もいます。
だからこそ大切なのは、「庭をつくるべきか」ということではなく、「どのような余白を暮らしの中に持ちたいのか」を考えることなのかもしれません。
□庭は、住まいに余白をもたらす存在
庭は建物の外側にある空間ですが、住まいとは切り離された存在ではありません。
窓の向こうに木々の緑が見えること。
風に揺れる草花の気配を感じること。
季節の移ろいを日々の暮らしの中で感じられること。
庭があることで、住まいに奥行きが生まれ、室内だけでは得られない豊かさをもたらしてくれます。
また、隣家との適度な距離を保つことで、光や風を取り込みやすくなり、視線や圧迫感をやわらげる役割も果たします。
参考:屋外空間とつながる湯の庭_浜寺本町の家/設計・片岡英和建築研究室
□暮らし方によって、庭のあり方は変わる
庭の使い方に決まった正解はありません。
子どもたちが走り回る遊び場になることもあれば、花や野菜を育てる楽しみの場になることもあります。
休日に椅子を持ち出して読書をする場所になることもあれば、家族や友人と食事を囲む場になることもあるでしょう。
ペットと過ごす時間を楽しむ庭もあれば、眺めることを目的とした静かな庭もあります。
誰かに見せるためではなく、そのご家族らしい時間の過ごし方を受け止めることこそ、庭の魅力なのだと思います。
□使われる庭には理由がある
せっかく庭をつくっても、いつの間にか使わなくなってしまうことがあります。
室内から出にくい、どこで過ごせばよいのかわからない、手入れの負担が大きすぎる。そうした小さな使いづらさが積み重なると、庭は次第に足が遠のく場所になってしまいます。
だからこそ、リビングとのつながりや動線、適度に管理できる植栽計画など、日常の延長として自然に使える工夫が大切です。
特別なイベントのためだけではなく、「今日は少し外の空気を吸おう」と思えるような身近さが、庭を暮らしの一部にしてくれます。
参考:平家でつながる庭_佐用町の家(兵庫県)/設計・片岡英和建築研究室
□変化する暮らしを受け止める余白として
住まいは、完成したときが終わりではありません。
子どもの成長や独立、趣味の変化、年齢を重ねることによって、暮らし方も少しずつ変わっていきます。
砂場だった場所が家庭菜園になったり、遊び場だった場所がくつろぎのスペースになったりと、庭は時間とともに使い方を変えながら、その家族の歴史を受け止めていきます。
用途を限定しすぎない余白があることで、住まいは変化に柔軟に対応し、より長く愛着を持って暮らせる場所になっていくのではないでしょうか。
□まとめ
庭は、単なる屋外スペースではありません。
自然とつながり、家族それぞれの時間を受け止め、住まいに余白をもたらしてくれる存在です。
限られた敷地の中でも、どのような外部空間を持つことで暮らしが豊かになるのかを考えることは、住まいそのものを考えることにつながります。
住まいの内側だけでなく、その外側に広がる風景にも目を向けながら、自分たちらしい暮らしのかたちを見つけていきたいものです。
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