契約について考える|納得して住まいづくりを進めるために
2021/03/14
住まいづくりにおいて、契約はとても重要な節目です。
設計内容、工事金額、支払い条件、工事範囲。
それらを曖昧なまま進めてしまうと、後から「思っていた内容と違った」と感じる原因になることがあります。
契約とは、単に書類に印鑑を押す手続きではありません。
これまで対話を重ねてきた内容を整理し、建て主、設計者、施工者が同じ理解のもとで住まいづくりを進めるための大切な確認の時間です。
今回は、注文住宅の契約時に確認しておきたいことについて考えてみたいと思います。
□設計監理契約と工事契約を理解する
設計事務所に依頼して注文住宅を建てる場合、主に2つの契約があります。
ひとつは、設計事務所と結ぶ「設計監理契約」。
もうひとつは、建設会社や工務店と結ぶ「工事請負契約」です。
設計監理契約では、設計図書の作成や確認申請、工事監理など、設計事務所が担う業務内容を確認します。
一方、工事請負契約では、建設会社がどのような工事を、いくらで、どの期間に行うのかを確認します。
この2つの契約の役割を理解しておくことで、誰が何に責任を持つのかが明確になり、安心して住まいづくりを進めやすくなります。
□不明点は契約前に確認する
契約書や見積書には、専門的な言葉や分かりにくい表現が含まれることがあります。
少しでも疑問に感じることがあれば、契約前に確認しておくことが大切です。
「たぶん大丈夫だろう」と思って進めてしまうと、完成後や工事中に認識の違いが生じる可能性があります。
大切なのは、わからないことをそのままにしないことです。
納得できるまで説明を受け、内容を理解したうえで契約することが、満足度の高い住まいづくりにつながります。
□見積書は内容の明確さを確認する
工事費の見積書は、住まいづくりの内容を金額として整理した重要な資料です。
総額だけを見るのではなく、どの工事にどれくらいの費用がかかっているのか、何が含まれていて、何が別途なのかを確認する必要があります。
項目が大まかすぎる見積書では、後から追加費用が発生したり、工事内容の認識にズレが生じたりすることがあります。
設計事務所が関わる場合は、工事明細や金額が設計内容に対して適正かどうかを、第三者的な立場から確認することができます。
建て主だけでは判断しにくい専門的な内容も、設計者が間に入ることで整理しやすくなります。
参考資料:見積書(木工事明細の一部)
□支払い条件と工事の進捗を確認する
工事費の支払い方法は、建設会社によって異なります。
一般的には、契約時、上棟時、完成時など、工事の進捗に応じて複数回に分けて支払うことが多くあります。
大切なのは、支払いのタイミングと工事の進捗が大きくずれていないかを確認することです。
工事の出来高に見合った金額を支払うことで、万が一のリスクを抑えることにもつながります。
契約前には、いつ、どの程度の金額を支払うのかを整理し、資金計画とも照らし合わせて確認しておくことが大切です。
□減額調整は契約前に整理する
見積金額が予算を超えた場合、コストダウンを検討することがあります。
その際に大切なのは、単に金額を下げることではなく、住まいの質を大きく損なわない範囲で、優先順位を整理することです。
どの仕様を見直すのか。
どの工事を後回しにできるのか。
どこは削ってはいけないのか。
こうした判断には、設計内容と工事費の内訳を正しく理解する必要があります。
そのため、契約前に設計事務所とともに減額項目を整理し、建設会社と調整しておくことが望ましいでしょう。
契約後に大きな変更を行うよりも、契約前に内容を整えておく方が、工事もスムーズに進みやすくなります。
参考資料:VE(バリューエンジニアリング)リスト
□契約は、信頼関係を確認する時間でもある
契約時には、金額や工期、仕様などの確認が中心になります。
しかし同時に、その内容について丁寧に説明してくれるか、疑問に誠実に向き合ってくれるかも大切な判断材料です。
住まいづくりは、契約して終わりではありません。
その後も設計、工事、現場確認、完成、引渡しへと続いていきます。
だからこそ、契約は書類上の手続きであると同時に、これから一緒に住まいづくりを進めていけるかを確認する時間でもあるのです。
□まとめ
注文住宅の契約では、設計監理契約と工事請負契約の役割を理解し、見積内容や支払い条件、減額項目などを丁寧に確認することが大切です。
不明点をそのままにせず、納得できるまで対話を重ねること。
契約内容を正しく理解し、建て主、設計者、施工者が同じ方向を向いて進めること。
それが、安心して住まいづくりを進めるための土台になります。
契約とは、住まいづくりのゴールではなく、これから形にしていくための大切な出発点なのだと思います。
なお、家づくりの全体像については、「家づくりについて考える|住まいづくりのはじまりに大切なこと」もあわせてご覧ください。
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