内装について考える(その1)|暮らしの質感を整える
2021/03/21
内装を決めることは、壁紙や床材の色柄を選ぶことだけではありません。
光の入り方、家具との関係、素材の手触り、日々の過ごし方。
それらを受け止めながら、空間の質感を整えていくことが、内装を考えるうえで大切です。
今回は、住まいの内装をどのように考え、決めていくのかについてご紹介します。
□内装は、暮らしの背景になる
内装は、住まいの中で常に目に入り、身体に触れるものです。
壁や天井、床、建具、造作家具などの色や素材は、空間全体の印象を大きく左右します。
ただし、内装は主張が強ければ良いというものではありません。
家具や照明、窓から入る光、そこに住まう人の暮らしを引き立てる背景として考えることで、長く心地よく過ごせる空間になっていきます。
□まずは、どのような時間を過ごしたいのかを考える
内装を決める前に考えたいのは、「どのような雰囲気にしたいか」だけではなく、「そこでどのような時間を過ごしたいか」です。
家族が自然と集まるリビングなのか、静かに眠りへ向かう寝室なのか、集中して作業する書斎なのか。
空間ごとに求められる落ち着きや明るさ、素材感は異なります。
暮らしの場面を想像することで、必要な色や質感の方向性も見えてきます。
写真:地下室のあるスキップフロア住宅_甲賀の家(滋賀県)/設計監理・片岡英和建築研究室
□色は、全体のつながりで考える
内装の色を考える際には、部屋ごとに単独で選ぶのではなく、住まい全体のつながりを意識することが大切です。
床、壁、天井、建具、家具の色味が大きくばらつくと、空間全体が落ち着かない印象になることがあります。
白やアイボリー、グレー、木の色など、ベースとなる色を決めたうえで、素材や質感に変化を持たせると、統一感のある空間になりやすいでしょう。
アクセントを加える場合も、壁の一部や小さな場所に限定することで、空間に程よいリズムが生まれます。
□素材は、光と時間の中で確かめる
カタログや小さなサンプルだけで内装を決めると、完成後に印象が違って見えることがあります。
同じ色でも、面積が大きくなると明るく感じられたり、自然光と照明の下では見え方が変わったりします。
また、素材の質感は、写真だけでは十分に伝わりません。
できるだけ大きなサンプルを確認し、実際の空間に近い光の下で見てみることが大切です。
手触りや光沢、凹凸、影の出方まで含めて確認することで、その空間にふさわしい素材を選びやすくなります。
写真:ホワイト系フローリングのダイニングキッチン_修学院の家(京都市)/設計監理・片岡英和建築研究室
□まとめ
内装を決めることは、単に色や柄を選ぶことではありません。
どのような時間を過ごしたいのかを考え、光や素材、家具との関係を整えながら、暮らしの背景をつくっていくことです。
主張しすぎず、けれど確かに空間の質を支える内装。
その積み重ねが、日々の居心地や住まいへの愛着につながっていくのだと思います。
なお、内装を「空間の背景」として捉える考え方については、「内装について考える(その2)|空間の背景をデザインするということ」もあわせてご覧ください。
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