間取りについて考える(その2)|暮らしの関係性をデザインする
2021/06/28
住まいづくりの中で、多くの方が最も悩むのが「間取り」ではないでしょうか。
しかし、間取りとは単に部屋の数や配置を決める作業ではありません。
家族とどのような距離感で過ごしたいのか。どのような時間を積み重ねていきたいのか。光や風、庭や街との関係をどう受け止めるのか。
間取りとは、暮らしの関係性を形にしていくことでもあります。
今回は、住まいの「今」を豊かにするための間取りの考え方についてご紹介します。
□家族の関係性から間取りを考える
間取りを考える際、まず大切なのは「何LDKにするか」ではなく、「どのように暮らしたいのか」を思い描くことです。
例えば、家族が自然と集まり会話が生まれるリビング。料理をしながら子どもの様子を見守れるキッチン。ひとりで読書や仕事に集中できる小さな居場所。
同じ家族構成であっても、理想とする距離感はそれぞれ異なります。
家族全員の希望を共有し、「これは大切にしたい」という優先順位を整理すること。その対話の積み重ねが、その家族らしい間取りへとつながっていきます。
□土地の個性が間取りを育てる
間取りは、敷地条件と切り離して考えることはできません。
土地の形状や高低差、接する道路の位置、周辺の建物との関係、光の入り方、風の抜け方、外からの視線。
一見すると制約に思える条件も、見方を変えればその土地ならではの魅力になります。
南側に大きく開くことが難しい敷地では中庭を設けたり、視線をコントロールしながら光を取り込んだりすることで、その場所だからこそ実現できる住まいが生まれます。
敷地を丁寧に読み解くことは、暮らしの可能性を広げることでもあるのです。
□ゾーニングという考え方
間取りを考える際には、「ゾーニング」という視点も重要です。
ゾーニングとは、住まいの役割を整理すること。
例えば、
・家族や来客が集うパブリックな空間
・寝室や子ども部屋などのプライベートな空間
・キッチンや洗面室などの家事空間
・収納や設備などをまとめるサービス空間
これらをどのような関係性で配置するのかによって、住まいの使いやすさは大きく変わります。
単に部屋を並べるのではなく、暮らしの流れを整理すること。それが間取りづくりの土台になります。
□間取りに豊かさを生む工夫
*スキップフロア
スキップフロアは、床の高さに変化をつくることで、空間に奥行きや広がりをもたらします。
完全に区切られてはいないものの、適度な距離感を保ちながら家族の気配を感じられることも魅力です。
書斎やスタディスペース、子どもの遊び場、収納など、多様な使い方ができる「もうひとつの居場所」として機能します。
参考写真:カタビラ_変形敷地&狭小住宅/設計監理・片岡英和建築研究室
□まとめ
間取りとは、部屋を並べることではありません。
家族の関係性を見つめ直し、敷地の個性を読み解き、日々の暮らしの流れを整理していくこと。
そうして生まれた間取りは、単なる「箱」ではなく、その家族らしい時間や風景を育てていく器になっていきます。
どのように暮らしたいのかを考えることから、住まいづくりは始まります。
なお、家族構成やライフスタイルの変化に対応する住まいの考え方については、「間取りについて考える(その2)|家族の変化を受け止める住まい」もあわせてご覧ください。
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