収納について考える|暮らしを整える仕組みをつくる
2021/07/05
住まいづくりでは、「収納はたくさんあった方が良い」と考えられがちです。
しかし、収納スペースの広さだけでは、片付けやすい住まいになるとは限りません。
大切なのは、どこに、何を、どのようにしまうのか。暮らしの流れに寄り添った収納の仕組みを考えることです。
収納とは、単にモノを隠すための場所ではなく、家事や日常の負担を軽減し、住まいを整えるための大切な要素でもあります。
今回は、収納でよくある失敗例とともに、暮らしを整える収納の考え方についてご紹介します。
□収納は「広さ」よりも「仕組み」が大切
収納が多い家が、必ずしも片付く家とは限りません。
使いたい場所から遠かったり、何を収納するかを決めずにつくった収納は、次第に使われなくなってしまいます。
収納を考える際には、「どこで使うものなのか」「誰が使うのか」「どのくらいの頻度で出し入れするのか」を整理することが大切です。
暮らしの流れに沿った収納計画は、日々の小さなストレスを減らし、住まい全体の居心地にもつながっていきます。
□収納で意識したい3つの視点
*使う場所の近くに収納を計画する
収納量が十分にあっても、使う場所から離れていると、片付けや取り出しに手間がかかることがあります。
例えば、洗濯物をたたんだ後に各部屋へ運ぶ動線が長かったり、キッチン用品を離れた場所まで取りに行かなければならなかったりすると、日々の家事負担は少しずつ積み重なっていきます。
「使う場所の近くにしまう」という考え方は、収納計画の基本のひとつです。暮らしの流れや家事動線に合わせて収納を配置することで、日々の動作が自然と整い、片付けやすい住まいにつながっていきます。
*収納量と動線のバランスを考える
ウォークインクローゼットは人気のある収納ですが、通路部分との関係によっては、思っているほど収納量を確保できない場合があります。
「広いから安心」と考えるのではなく、収納部分と動線のバランスを見極めながら計画することが大切です。
必要な収納量や使い方に応じて、ウォークイン型だけでなく壁面収納なども含めて検討することで、限られた空間をより効率的に活用することができます。
収納は広さそのものではなく、「どのように使うのか」という視点から考えることで、使いやすさが大きく変わります。
*収納の目的を明確にする
屋根裏収納やロフトは、限られた空間を有効活用できる魅力的な収納です。
一方で、日常的に使うものを収納すると、出し入れのしにくさを感じることもあります。
季節用品や思い出の品、防災用品など、使用頻度の低いものを収納する場所として位置づけるなど、収納の目的を明確にしておくことが大切です。
「何を、どこに、どのくらいの頻度で使うのか」をあらかじめ整理しておくことで、それぞれの収納の特性を活かしながら、無理なく使い続けられる住まいになります。
玄関収納の参考図
*収納するモノから逆算する
収納したいものの大きさや量を把握しておくことも重要です。
季節家電、掃除道具、趣味の道具、本や書類、玄関まわりの用品など、それぞれに必要な奥行きや高さは異なります。
「何となく広くしておく」のではなく、収納するモノを具体的に想定することで、無駄のない収納計画につながります。
*少しの余白を残しておく
収納は、すべてを隙間なく埋めることを目的にしない方が良い場合もあります。
子どもの成長とともに持ち物が増えたり、趣味が変わったり、ライフスタイルは少しずつ変化していきます。
また、大切な衣類やバッグなどは、風通しや型崩れにも配慮しながら収納したいものです。
少しの余白があることで、暮らしの変化を柔軟に受け止められる住まいになります。
参考写真:ゆったりとした玄関収納のある家_寝屋川SLH/設計監理・片岡英和建築研究室
□収納は、暮らしとともに変化する
子育て中に必要だった収納も、子どもの独立後には役割が変わるかもしれません。
働き方や趣味の変化によって、必要なモノも変わっていきます。
だからこそ、「今」だけではなく、「これから」の暮らしも見据えながら収納を考えることが大切です。
変化を受け止められる柔軟さもまた、長く心地よく暮らすための条件のひとつなのだと思います。
□まとめ
収納とは、モノを隠すための場所ではありません。
暮らしの流れを受け止め、家事の負担を減らし、住まいを整えるための仕組みです。
「どれだけ収納をつくるか」ではなく、「どのように暮らしたいのか」から考えること。
使う場所の近くに適切な収納を設け、収納するモノに合わせた計画を行い、少しの余白を残しておくこと。
そうした積み重ねが、片付けやすく、長く愛着を持って暮らせる住まいにつながっていくのだと思います。
なお、家族の変化に対応する住まいの考え方については、「間取りについて考える|家族の変化を受け止める住まい」もあわせてご覧ください。
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