デザインについて考える|長く愛着を持てる住まいの美しさ
2021/02/04
参考写真:スカイバルコニーのある狭小住宅(福岡市)/設計監理・片岡英和建築研究室
□美しさは、全体の調和から生まれる
住まいづくりでは、床材、壁材、照明、家具、建具など、さまざまな要素を選んでいきます。
一つひとつの素材に魅力があっても、それぞれの主張が強すぎると、空間全体としては落ち着かない印象になることがあります。
床は住まいの中でも大きな面積を占め、空間の印象を決める重要な要素です。
床材の選び方については、「床について考える(その1)|空間の印象を決める足元のデザイン」もあわせてご覧ください。
特に、壁や天井、床のように大きな面積を占める部分は、住まいの背景となる要素です。
ベースとなる部分を整え、素材や色のバランスを考えることで、家具や暮らしの気配が自然に引き立つ空間になります。
□テイストは、家全体のつながりで考える
インテリアには、モダン、北欧、和、ヴィンテージ、ナチュラルなど、さまざまなテイストがあります。
好みの要素を取り入れることは、住まいづくりの楽しさのひとつです。
ただし、部屋ごとに大きくテイストが変わると、住まい全体の印象が分断されてしまうことがあります。
家全体として大切にしたい雰囲気を決め、その中で場所ごとの表情を少しずつ変えていく。
そのように考えることで、統一感がありながらも単調ではない空間が生まれます。
参考写真:地下室のあるスキップフロア住宅_甲賀の家(滋賀県)/設計監理・片岡英和建築研究室
□余白を残すことで、暮らしが映える
おしゃれに見せようとすると、つい多くの要素を足したくなることがあります。
しかし、住まいは完成した瞬間だけでなく、家具が入り、物が置かれ、日々の暮らしが重なっていく場所です。
だからこそ、最初からすべてを飾り込みすぎず、暮らしが入る余白を残しておくことも大切です。
余白のある空間は、時間とともに住まい手らしさを受け止め、愛着のある場所へと育っていきます。
図面だけでは、空間の広がりや高さ、素材の見え方を具体的にイメージしにくいことがあります。
模型やパース、3Dなどを用いて確認することで、外観や内装のバランス、光の入り方、素材の雰囲気をより立体的に把握しやすくなります。
設計段階でイメージを共有しておくことは、完成後の認識の違いを減らし、納得感のある住まいづくりにつながります。
CG:ガレージハウス_IKEHAN(京都府)/設計・片岡英和建築研究室
□流行よりも、暮らしに馴染むかを考える
住宅のデザインにも、その時代ごとの流行があります。
もちろん、今好きだと感じるデザインを取り入れることは大切です。
一方で、住まいは長い時間を過ごす場所です。
数年後、十数年後にも心地よく感じられるか。
家具や暮らし方が変わっても受け止められるか。
そのような時間の視点を持つことで、一時的な印象だけに左右されない住まいの美しさが見えてきます。
美しさと居心地は、決して別々のものではありません。
長く心地よく暮らせる条件については、「居心地について考える|住みやすさをつくる条件」でもご紹介しています。
□まとめ
住まいの美しさは、特別な装飾や流行のデザインだけで決まるものではありません。
素材や色の調和、家全体のつながり、暮らしを受け止める余白、そして時間とともに愛着を深められること。
そうした一つひとつの積み重ねが、長く心地よく暮らせる住まいの美しさにつながっていきます。
おしゃれに見えること以上に、日々の暮らしの中で「この家は落ち着く」と感じられること。
それが、住まいにとって大切なデザインなのだと思います。
なお、内装の考え方については、「内装について考える(その2)|空間の背景をデザインするということ」もあわせてご覧ください。
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